福井地裁で「もらい事故」で賠償義務負う判決が出されました!

この事故は、センターラインをはみ出した車同士が衝突し、はみ出した側の助手席の男性が死亡した事故ですが、直進してきた対向車側にも責任があるとして、遺族が対向車側を相手に損害賠償を求めた裁判です。

事故が起きたのは、2012年の4月30日の朝に発生した事故で、福井県のあわら市で、男子大学生(当時19歳)の運転する乗用車と会社役員(当時44歳)が運転する乗用車が衝突し、男子大学生が運転する乗用車の助手席(車の持ち主)に座っていた男性(当時34歳)が死亡してしまった大事故。

この裁判では、福井地裁の原島麻由裁判官は「対向車側に過失がないともあるとも認められない」とした上で、無過失が証明されなければ賠償責任があると定める自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき「賠償する義務を負う」と認定し、対向車側に4000万円余りの損害賠償が、4月13日に訴訟の判決言い渡しがあった。同様の事故で直進対向車の責任を認めたのは全国で初めてである。

この判決については、当方での主観ではなく、客観的には自動車事故を考えてみました。まずは、自賠法(自動車損害賠償補償法)では、運転者が自動車の運行によって他人の生命、身体を害したときは、損害賠償するよう定めています。

この自賠法では、加害者は自分に過失がなかった事を証明できない限り、被害者に対する賠償義務を負わなければなりません。

加害者に責任がない事を立証する場合、以下の3点があります。

  1. 自動車の運行に際し注意を怠らなかった事
  2. 被害者・運転者以外の第3者に故意または過失があった事
  3. 自動車に構造上の欠陥・機能に問題がなかった事

しかし、これらを証明するのは大変困難であり、ほぼ無過失責任が認められています。

自賠責保険では、被害者救済目的で、被害者に有利な認定・運用がなされますが、その限度額を超えた場合や物損事故の場合は、事故処理は民法がベースになります。民法は過失責任を原則としますから、賠償義務は、加害者の過失割合分のみに変わります。要は、民法で有れば任意保険での処理と言う事になります。

自動車事故では、双方に過失が問われるような事故形態では、両者の承諾がなければ事故解決しません。基本的には自分に有利になるように主張するためには、相手側の過失を提示・立証、相手が認めて過失が修正される事になります。いくら任意保険に入っているからと言って、保険会社にすべて任せるには、自分で主張・立証をしなければいけません。自分に有利になるように主張する以上は、大切なことなのです(それでも相手が認めるかどうかは別で、最終的に決着がつかない場合は、司法による判断を仰ぐしかありません)。

この福井地裁「もらい事故」判決は、運転していた大学生が、居眠りで運転操作を誤り、センターラインを越え対向車に衝突したが、判決では「対向車の運転手が、どの時点でセンターラインを越えた車を発見できたか認定できず、過失があったと認められない」とした一方、「仮に早い段階で相手の車の動向を発見していれば、クラクションを鳴らすなどでき、前方不注視の過失がなかったは言えない」と、過失が全くないとの証明ができないとした。直進してきた対向車側にも責任があるとして、遺族が対向車側を相手に損害賠償を求めた。

自動車事故には、いろいろな背景があるが、この場合、一般的には、過失割合の配分が一方的となりそうな事故なのですが、はみ出した車は、任意保険加入はしていたもの、家族限定の特約を付けていたために、家族以外が運転して事故が起きても任意保険が使えず、この車に乗り死亡した男性の遺族補償が出来ずにいた。と言う訴訟を起こした背景も無視できません。従って、判決(控訴中)は遺族を救済する形となったのです。

そして、自賠法では「人身事故が起これば、自動車同士なら互いに共同不法行為となる。少しでも過失があるとなれば賠償責任が生じる」。一見、「もらい事故」と言う形でも、無過失の証明が出来なければ責任があると言った判決は、死亡した遺族にとっては有難い判決ではないでしょうか。

自動車事故は、一般的に過失割合の責任配分が「100対0」となる事故もありますが、「100」の過失なら全ての責任を負うと言う「常識」を覆す判決だと言う点は、今後の自動車事故においては、契約者と代理店とで充分状況や主張などを話し合う必要は言うまでも無く、保険はどこでも同じではないと言った事は知っておくべきです。保険会社任せにしておいては危険ですよ、信頼できる代理店選びは、みなさんの家族を守ることに繋がります。

この「もらい事故判決」を、ご自身に置き換えて次の事案で考えて欲しいのですが、仮に、貴方は友人の車を運転し、助手席にはその車の所有者を同乗させていた。いつの間にか、貴方は居眠り運転をしてしまい、センターラインをはみ出してしまい、たまたま対向車線を直進して来た対向車と衝突する事故を起こしてしまい、助手席に同乗していた友人(車の所有者)が死亡した。そして、任意保険の契約内容は「家族限定」、死亡した持ち主への補償は受けられないのです。もちろん、対向車に対しても任意保険での賠償は出来ません。正に「もらい事故」と言えます。

自分に過失がなくても、相手が任意保険に加入しておらず、相手から補償がしてもらえない場合などでも、今回の判決を含め、自己防衛での補償は、易いからといって安易に加入すると、自分で請求しない限り支払いを受けられない人も少なくない。事故には様々なケースがあり、契約内容によっては救済できる仕組みがあることを代理店とよく話し合い、事故例などを聞いて補償内容を決める方法は大切な事です。但し、代理店は全て同じではないので、プロ代理店と言われるところで加入した方がいいと思います。でも、最近は、プロ代理店の中にも素人みたいな人や、センスのない方が保険契約をすると、事故の際、以外と苦労する事をよく聞きますので、お気をつけて下さい。この判決は被害者側が控訴していますので、相手も、助手席の亡くなった方の遺族も、まだ補償されるのは先であり、やはり、相手への賠償と言う時代から、自己防衛で補償を受けられる保険の検討は大切な時代となってきたと言えると思います。

いくら保険料が安いからと言って、役に立たないポンコツな保険では意味がないのです。ポンコツ保険とは、ご興味のある方はご連絡下さい。驚くほど、ポンコツな保険があるので、本当に、いい加減にしなさいと思う事は数多くあるのが実態です。